実家の土地に建替え  −相続登記が必要な時 / 小規模宅地の特例の活用−

ご実家や田舎の家の相続登記をしないでほっておいた際に、時々お見かけするのが、

『建替えしたいれどそ相続登記が必要です。』と言われてしまった・・・という様なケースです。

 

土地も建物も亡くなった父親の名義のままにしておかれた様なケースです。

 

たしかに、

そのままの名義でも、市役所からの固定資産税納付書等は相続人の一人(例えば、母親)に、

送られてきますので、税金の支払い面では特に不都合は発生しません。

 

しかしながら、

家の建て替えの際には話は別になります。

法律上は、亡くなってしまった段階で、物を所有したり権利を保有したりは出来なくなります。

ですので、亡くなられた方の名義=相続人全員の名義 という事になります。

 

そこで、

必要となってくるのが、『 相続登記 』という手続きです。

相続登記自体は、書類収集の期間も含めて、大目に一か月程度は見ておいた方が賢明です。

色々と追加で必要となってくる書類や申請が出てくるケースも多いからです。

 

この相続登記が終われば、

無事建替えの話は進める事が出来るかと思います。

 

 

また、親御さんがお元気な間の建替えについては、

『小規模宅地等の特例』という優遇税制を活用されている事例が増えているようです。

 

これは、平成25年の税制改正において、従前の制度からさらに要件が緩和された事も手伝っています。

 

改正部分は次の通りです

 

小規模宅地等の特例の限度面積が拡大

被相続人等の自宅の敷地が80パーセント減額される特定居住用宅地等について、

限度面積が240㎡から330㎡まで拡大されます。

 

この改正は、相続税の基礎控除の引き下げ等による増税に合わせる形で、

平成27年1月1日以後の相続から適用となります。

 

下記に具体例計算を記載しておきますので、ご参考にされて下さい。

(*具体的な制度利用に関しては、税理士先生へのご相談が必須となるかと思います。)

 

◆特定居住用宅地等の限度面積

現行「240㎡」 ⇒改正後「330㎡(約100坪)」
(90㎡分拡大しています。)

 

◆具体例1◆  路線価40万円/㎡  自宅土地350㎡ の評価の場合

40万円×350㎡=1億4000万円       (自宅の評価⇒本来の課税価格)

 

40万円×80%×330㎡=1億560万円    (小規模宅地等の特例の減額)

1億4000万円−1億560万円=3440万円 (この価額を相続税の計算に算入)


以上の通り、相続税の評価額が 1億4000万円⇒3440万円と大幅に下がる事になります。

 

この改正は、自宅の敷地が240㎡を超える人だけでなく、他に賃貸アパートや貸駐車場などを所有する人にもメリットがあります。限度面積に満たない部分については、不動産賃貸用の土地(貸付事業用宅地等)からも適用が受けられるためです。なお、貸付事業用宅地等は、200㎡まで50%減額です。

 

◆具体例2◆  路線価40万円/㎡  自宅の敷地198㎡と貸駐車場100㎡ の評価の場合

40万円×(198㎡+100㎡)=1億1920万円 (自宅の評価⇒本来の課税価格)

40万円×80%×198㎡=6336万円      (小規模宅地等の特例の減額)

1億1920万円―6336万円=5584万円    (自宅の敷地のみの減額計算結果)

 

198㎡/330㎡=0.6(自宅の敷地にての適用を受けた部分の割合)

貸付事業用宅地等の限度面積200㎡×(1−0.6)=80㎡(プラスで減額が受けられる面積)

貸付事業用宅地等から80㎡まで50%減額できます。

40万円×80㎡=3200万円(評価額)

40万円×50%×80㎡=1600万円(小規模宅地等の減額)

3200万円−1600万円=1600万円(貸付事業用宅地等からの減額分)

 

トータル結果 5584万円−1600万円=3984万円(この価格を相続税の計算に算入)

 

以上の通り、相続税の評価額が 1億1920万円⇒3984万円と大幅に下がる事になります。

 

特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等も適用可能に

 

被相続人等が個人又は法人で事業(不動産貸付事業を除く)をしている土地がある場合には、

一定の要件を満たすと特定事業用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等

(いずれも400㎡まで80%減額)の適用を受けることができます。


現行では特定居住用宅地等と有利な方から選択し、適用し切れなかった部分について、もう一方の特例で適用を受けます。ちょうど、前述の特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等のような調整をしていますので、トータルとしての変動はある程度になります。

 

しかしながら、改正後はそれぞれ限度面積まで適用を受けられ、最大730㎡(330㎡+400㎡)まで小規模宅地等の特例の適用が受けられます。

かなり大きな限度面積となりますので、税理士先生の話によれば活用を検討されておられるケースも多いようです。(平成27年1月1日以後の相続から適用)。

 

   ⇒参照:国税庁HP 『相続した事業の用や居住の用の宅地等の価格の特例(小規模宅地等の特例)』

 

 

*さらにその後に改正がなされていっています。

 税法は本当に難しいですね。ここの部分は税理士先生との連携協力をさせて頂いています。

(細かい改正点は、詳しくは税理士先生に確認をしていきましょう)

 

 

少し専門的な計算が多くて、分かりずらいかもしれません。

分かり易く言いますと、相続税を支払うための基準評価額を減らすことが出来る。という事です。

 

上記の例ですと、1億円以上の評価額が、3000万円程度まで減りますから、

本来は相続税の申告が必要な方(基礎控除額の枠内におさまらない方でも、

基礎控除枠におさまる事が可能になる。という事になります。

・・・ここの部分は、税理士先生の出番となってくる部分です。

 

税務上のメリットがあるのか、ないのかは、税理士先生との協力が必須となります。

また、仮に税務上のメリットがあったとしても、建て替えのためにさらに大きな借入が必要であったり、

今後の建て替えをした後のキャッシュフローが思わしくない、等々の事情があれば、

長い目線でみれば制度利用が有効的とは言い切れなくなってきます。

 

ここの部分は、各方々が決めていかれる部分でしょうから、

この様な制度があるという事と、しっかりと税理士先生への相談が必要になる事の、

二つの事を押さえていかれるのが大切になっていきます。

 

また、上記の建替えの話と同じように、ご健在の親御さんが上記のような制度の活用をされる際、

その土地や建物が亡祖父母名義で残っておられるようであれば、その相続登記も前提として必要です。

 

一言に親の土地に建替えをします。

と言っても、たくさんの内容があることがわかるかと思います。

 

上記のような相談も、早め早めにされていかれる事が賢明かと思います。

 

 

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