生前贈与の活用 〜同居の子供夫婦の名義に〜

高齢になられた方々の相続対策として、様々な方法があります。

自宅や田舎の土地建物については、大まかに三つぐらいのパターンがあるように感じます。

 

〇  特に何もしない。事前に子供たちに割り振りは伝えて、了承してもらっておく。

〇  遺言書をつくっておく。不動産についても、誰にどの物件を渡すのかを決めておく。

〇  生前贈与をしておく。非課税枠の活用や、相続時精算課税制度の利用をする。

 

大体、どれかに当てはまるように感じます。

資産額が多い方は、信託制度の活用や、資産運用の延長上での相続対策をされるケースが多いようです。

 

一つ一つのパターンについての、メリット・デメリットを把握されておかれる事は大変有用と思いますので、

以下に見ていってみましょう。

 

 

〇 『 特に何もしない。事前に子供たちに割り振りは伝えて、了承してもらっておく。 』 のパターン

相続登記のご依頼を頂く際に、一番よくあるパターンです。

(*そもそも、生前贈与をされておかれれば、相続登記の必要はないので当たり前の事かもしれません。)

 

兄弟間やご身内の相続人同士で、スムーズに話がまとまっていくケースも多いようです。

例えば、長男の兄に自宅等は名義は譲る、銀行貯金は兄と弟と妹で均等三分割する。といった内容です。

 

この様なスムーズな流れは、亡くなられた方も、一番安心されるような形と思います。

 

 

ただし、当初の通りの話し合いに落ち着くまでに、意外と時間が経過されておられるケースもお見受けします。

当のご本人さんが亡くなられてから、半年〜1年ほどたってから、相続登記のご依頼に来られるケースです。

 

当初は、自宅は兄、残りの預金は兄、弟、妹で均等3分割といっていたのものの、

例えば、預金の割り振りについての異議が出てきてしまっているようなケースです。

訴訟沙汰にするほどのことではないけれども、お墓の費用やその他の費用について

話し合いが煮詰まらないようなケースです。

 

また、このような際に、兄の奥様、弟の奥様、妹の旦那様、等々 相続人の方々の周りの方々の意見で、

話し合いにならなくなっているようなケースもお見かけします。

 

 

亡くなった親のおっしゃった事と、ご自身の配偶者の言われる事との間に、

当の相続人の方が、板挟みになってしまうようなケースです。

 

この状態が悪化すると、双方が代理人(弁護士)を立てるような事態となっていき、

調停⇒訴訟 という流れになっていくことになります。

その紛争が解決されてからの相続登記という事になりますが、

亡くなられた方(被相続人)から見られれば、一番望まない結果になってしまっているかと感じます。

親の立場からしたら、子供同士のけんかは一番見たくないものです。

 

思わぬ(悪い)結果という事ですから、ここは気を付けないといけません。

 

 

〇 『遺言書をつくっておく。不動産についても、誰にどの物件を渡すのかを決めておく。』 のパターン

遺言書を作成される方も、以前よりは増えているような印象があります。

自筆証書遺言でご自身でつくられるより、公証役場での公正証書遺言の活用をされておられるようです。

 

(公正証書)遺言書作成のメリットは、

思いを確定的にすることが出来る事でしょう。

コストといっても、遺産の対象額から比較すれば、それほど高いコストではないと思われます。

 

デメリットは、

・何度でも遺言書を作ることができるという事。

・遺言書自体の効き目が無くなってしまうようなケースがある事。

・相続人さん全員で、再度の遺産分割協議をすることも可能である事。

と、ご本にさんがお元気な間に、思いを確定的な状況にもっていくことができない点かと思います。

(例えば、自宅の土地建物の名義は、亡くなるまでは当の本人さんの名義になっている 等)

 

遺言書自体の中身については、相続人の方は基本的にはハッキリと知らないケースが多いようです。

だからこその遺言書なのかもしれません。

 

 

〇 『 生前贈与をしておく。非課税枠の活用や、相続時精算課税制度の利用をする。 』 のパターン

お元気な間に、すべて実行されておかれるケースになります。

 

メリットは、

お元気な間にその状態が実現できるという所が一番でしょう。

また、いざ相続が発生された際に、事前に事が終わっている点。

相続人同士がもめるリスクは大幅に減らすことが出来ます。

この部分を求めてされる方が多いようです。

 

他には、税務上の優遇制度の活用をされることで、通常の贈与税の税率でなくてすむ事も重要な部分です。

 

 

デメリットは、

一度された生前贈与はやり直しをしていくにはコストがかかってしまう点。

税務上の優遇制度の活用をされる際に、税理士先生へのコストがかかる点。

(通常の相続時精算課税制度による生前贈与であれば、20万〜25万円程度のようです。)

 

登記の際の法務局への登録免許税が、通常の相続登記の税率 固定資産評価額×1000分の4ではなく、

通常の贈与登記の税率 固定資産評価額×1000分の20となる点。

等々かと思われます。

 

こればかりは、将来のメリットとデメリットを天秤に掛けられた上での判断となりますので、

ご本人さんにとっては、ある意味どちらも正解になります。

 

以上が大まかな三つのパターンになります。

 

司法書士という職業の個人的な専門職の感覚上は、

どうしても事前にされておかれる方法論(生前贈与等)のほうが、

後々何かややこしくならなくて済むかな・・・ と感じてしまう比率が大きいのも事実です。

 

これは、大丈夫だと思っていたら、思わぬ外野からの文句で話し合いが出来なくなられた事例や、

事前の話し合いがあったのに、露骨に法定相続分の要求をされてきてしまったような事例など、

自分自身にとっては当時は強烈な印象のケースがあったことが大きく作用しているのかもしれません。

 

ですので、

このような対策についての専門職(特に、司法書士や税理士、会計士等々)がおっしゃる感覚といのは、

そのような職業的な過去の経験値が大きく作用している。

というご理解のもとに情報や相談回答内容を利用されたらよいかと感じます。

 

また、専門職自身が、仕事を作り出そうという意図のもとでアドバイスされるケースもあります。

ここの部分は、その方において、

そのような意図がどれだけの比率なり比重を占めているのか?という問題になるでしょうから、

 

やはりご自身として一番信頼出来て何でも相談できる信頼がもてる方を選んでいく。

という所が結論かと個人的には感じます。

ですので、相性といった部分も大切になってくる領域です。

 

極論になりますが、生前贈与をするのも正解、しないのも正解です。

自分自身、大した財産はありませんが、

50〜60代になれば、おそらく生前贈与の制度は活用していくだろうな・・・

ここは、職業的な過去の経験値からの判断の比率が高いという事になりますね。

 

各相談者の性格上の性質の部分も大きく作用されると思いますので、

よくよく3つのパターンなりを検討されてみてください。

その上で、生前贈与等を望まれるのなら、またご連絡下さい。

 

円満な事前準備、円満な相続 であることを願っています。

ありがとうございました。

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